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日本車と輸入車の違い -シリーズ第1弾-
「超えられない1600ccの壁」

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March 17,2019

日本車と輸入車の違い-第1弾-「1600ccの超えられない壁」

日本車と輸入車の違い-第1弾-「1600ccの超えられない壁」

みなさんこんにちは、オーナーのRYOです。

今回は「日本車と輸入車の違い」シリーズ第1弾をお届けします。

第1弾として、「1600ccの超えられない壁」をテーマにしました。

なにがどう超えられないのか、

輸入車や日本車はどうなのかを徹底的に掘り下げていきたいと思います。

 

まず1600ccとは何か。

 

それは車のエンジンの総排気量を指します。

排気量はエンジンの大きさ、ボディの大きさに比例し、

その大きさによって(排気量によって)自動車税の課税区分が変わります。

毎年5月に戦々恐々とされているされている方も多いでしょう。

軽自動車は660cc以下の排気量エンジンで、自動車税は一律です。

 

自動車税は、自動車を購入する際、維持する際に、気になる項目の一つですね。

1600ccという中途半端にも思える数字の排気量のエンジンは、

実は欧州車に多く採用されています。

 

プジョーやシトロエン、ルノー、ミニ、フォーカス、フィエスタ

といったコンパクトカー、セグメントAと言われる車に多いですね。

国産車では、昔、シビックやハチロクといった車に多く採用され、

俗に言うテンロクエンジンです。

(1600ccは1.6リッターなので略してテンロク)

 

少し前は、スズキのスイフトに採用されたくらいで、

現行車種では殆ど採用されていません。

 

自動車税区分の違いによる弊害

勘のいい読者の方は、うすうす感づいているかもしれませんが、

なぜ昔は沢山採用されていて、最近はほとんど無くなってしまったのか。

 

それは、ずばり「売れない」からです。

何故売れないか。

 

その理由は排気量に差異に生じる自動車税の課税区分の影響だからです。

 

1600ccのエンジンを搭載した車は、

1501cc以上2000cc未満の区分となり、年額39,500円の納付となります。

これは、車として車格が上の2000ccの車と同じ税金を納めなければいけません。

 

ところがスイフトで例を挙げると標準車は、1300ccがメインで、

国産のコンパクトカーで最も多く採用されているサイズです。

自動車税の年額も34,500円と5,000円安い区分となります。

スイフトスポーツは、規格はコンパクトカーなのに、

エンジン が1600ccなため、税金は規格が上のカテゴリーの

2000ccと同じ税額39,500円を納めなくてはいけません。

 

なんだか割高に感じてしまい、それでは、ユーザーは次第に嫌煙し、

売れなくなっていったので、ライバル車であるヴィッツRSやデミオスポルトは

1500ccを採用し、1300ccの標準車と同じ税区分に納めたのです。

では世界のコンパクトカーはなぜ1600ccを採用しているのか。

 

明暗を分けてしまった1500ccエンジン

1600ccは、400ccのピストンシリンダー(筒)が4つあるので、

400cc×4=1600ccで4気筒エンジンの意味になります。

諸説いろいろありますが

4気筒エンジンの中で一番、燃焼効率がよいとされて、

走りや燃費の面で最も効率的でバランスが良いとされ、一番採用されています。

 

一方1500ccのエンジンは、数字上割り切れない375ccという

中途半端なピストンシリンダーが4本という構造で、

最も燃焼効率と燃費がの悪い構造の一つと言われています。

375cc×4気筒=1500cc

 

性能面、構造設計上では1600ccに軍配があり、

自動車税区分では1500ccの方が安く維持できます。

 

このたった100ccの差が天と地の明暗を分けています。

 

世界から見た異種な日本の自動車税

世界各国にも自動車税は存在しますが、排気量の500ccごとに区分され課税される仕組みは日本だけです。

自動車税額(自家用車)
660cc以下…10800円(軽自動車)
661~1000cc…29,500円
1001~1500cc…34,500円
1501~2000cc…39,500円
2001~2500cc…45,000円
2501~3000cc…51,000円
3001~3500cc…58,000円
3501~4000cc…66,500円
4001~4500cc…76,500円
4501~6000cc…88,000円
6001~…111,000円

その昔、日本の政府官僚関係の方が、どういう理由で500ccごとに課税する仕組みを作ったのか判りませんが、自動車工学を無視したとしか思えません。

欧州車の本国であるイギリスやドイツの自動車税に排気量は関係ありません。

 

つまり1500ccを超えるかどうかは全く関係がなく、効率の悪い1500ccを作る必要性は全くありません。

現実に1500ccのエンジンを作っているのは日本だけです。

 

つまり、この意味不明な自動車税の税制区分に生まれたエンジンと言っても過言ではありません。

自動車後進国である中国も自動車税は排気量の違いによって

課税区分が違う点では日本と同じですが、

1000cc以下…60-360元
1001cc~1600cc…300-540元
1601cc~2000cc…360-660元

1600ccを境目にしています。

 

車の後進国である中国でも1600ccの排気量が非常に重要と理解して、税区分が分けられています。

 

日本市場では、維持費の面でネックとなる1600ccは売りにくいので、1500ccを作り続けるでしょう。

1300ccもこの構造効率の悪い1500ccから派生したと言われており、

1300ccエンジンも世界中日本以外ほとんどありません。

 

たった100ccの差。

 

この小さな差が、税制度によって、

世界の欧州車と日本車の埋まらない溝の1つかもしれません。

 

現状の自動車税制度を維持し続けると、輸入車はおろか

後進国の車ですら性能や開発が追い抜かれる可能性もあるかもしれませんね。

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