塗装と調色
車の塗装は非常に難しい。
何で?
塗るのが難しいのか???
そうではありません。
その理由は、調色をしなければならないからである。
調色とは、色を調整することで、現車に合わせて、塗装する周りの色と、目的の箇所の色が合う様に
塗料を調合します。
調色師と呼ばれる人がいる程重要です。
何で、色が合わないの?
そんなの、設計書、指示書通りの色を配合・調合すれば、
再現性があり、同じ色を作れるんじゃないの?
と思われるかもしれません。
ところが、そうは簡単にはいきません。
車の修理、特にボディの修理において、
板金塗装する際に、調色によって色を作らなくてはならず、
最も難しいとされているのが調色作業です。
なぜ、塗装をする際、塗料を調合するのに調色師という専門者が必要なのか。
メーカーが指定した、調合配合どり、(設計通り)色を調合すれば
ボディと同じ色が作れるのだから、色は合うでしょ?
って思うはずです。
ところが、メーカー指定の調合通りに色を作っても、現車と同じになる事がの方が稀であるから。
そう、現車通りの色にならないのです。
なぜなのか。
それは、メーカー指定(カラーナンバー通り)の色の調合をした基本の色と、
実際には車1台1台色がわずかながら微妙に個体差、違いがあるからである。
だから調色師が必要なのである。
では、なぜ1台ずつ個体差が生まれるのか。
それは、
使用感や色あせたといった褪色も関係する場合もあるかもしれませんが
ほとんどの場合これに当てはまらない。
1番大きな原因は、製造工程にあります。
簡単にいうと、同じ色番号であっても、
全く同じ色に再現でないということ。
例えば、複数の車種に、同じカラー番号の色が採用されていることもあるし、
それらの車種は、違う工場で生産されていることもある。
生産工場が違えば、当然機械装置や環境も違うので、
再現性に誤差が生じることも想像できる。
ほんの僅か、数ミリ違うだけでも、一見同じに見えても、
塗布する面積が大きいとその誤差は大きなものとなる。
合同一工場、同一ライン、同一車種であっても同じ色にならないのである。
同一の塗料タンクだったとしても、
自動車工場の塗装タンクはとても巨大であり、
タンクの上部と中程、底では均一に色が混ざっているとは限らない。
タンク内は攪拌されているが、それでも完璧に均一な状態とはいかない。
故にへ、次々と流れていく生産LINEでも最初のほうに乗った車体と
時間が経って後に塗装した車体の塗料が均一・同一ではない現象が生まれるのである。
そのことによって、新車だったとしても、同じ車種であったとしても、
同じカラーナンバーだったとしても、色の個体差が微妙に違って生じるのである。
例えば、トヨタのスーパーホワイトII(カラーNo.040)は、
基本的な調合表が40種類ある以上あると言われている。
同じカラーナンバーの基本色だったとしても
これだけ調色のパターンが存在するのである。
なのでそれ以上にまた車の個体差も
さらに何十種類何百種類と答え差が生まれてくるのである。
ゆえに、カラーナンバー通りの調色をしたとしても、
実際の車体の色と微妙に違う場合がある。
市販されているからタッチペンを塗ると、
色番号は合っているのに、実際の車の色と微妙に違うのはこの理由からである。